メディアサイト|2026.05.17

「文春オンライン」トップページの表示速度ボトルネック研究

CSSファイルの分散(12ファイル)、画像のJPEG/PNG形式での配信などのボトルネックが観測され、これらを解消するシミュレーションではLighthouseスコアが80から最大100まで変化する結果が得られました。Core Web Vitalsの大きな改善が期待できます。

文春オンライン

https://bunshun.jp/|調査日: 2026-03-19

より詳しいレポートについてはこちらを参照ください。

この研究は自主的に実施したものであり、サイト関係者からの依頼によるものではありません。掲載の取り下げを希望される場合はお問い合わせください。

文春オンライン

文藝春秋が運営する総合ニュースメディアで、週刊文春のスクープ記事をはじめ、エンタメ・社会・ビジネスなど幅広いジャンルの情報を配信しています。モバイル環境での表示速度について、どのような要素がボトルネックとなっているのかを研究するため、解消シミュレーションを実施しました。

Core Web Vitalsにつながる指標の改善ポテンシャル

観測時点全ボトルネック解消シミュレーション後
観測時点のLighthouseスコアシミュレーション後のLighthouseスコア
指標観測時点解消シミュレーション後変化量
総合スコア80100+20
LCP4.6秒0.3秒-4.3秒
FCP0.6秒0.2秒-0.4秒
SI5.0秒1.3秒-3.7秒
TBT0ms0ms変化なし
CLS0.0000.000変化なし

総合スコア が80から100へと20ポイント変化するシミュレーション結果が得られました。特に LCP(Largest Contentful Paint = ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間)が4.6秒から0.3秒へと大きく変化しており、LCP に強く影響するボトルネックが存在していたことが読み取れます。

なお、TBT(Total Blocking Time)と CLS(Cumulative Layout Shift)はもともと良好な値であったため、今回の研究では変化が観測されませんでした。

読み込みプロセスの変化を動画で体験

本サイトは観測時点でも表示が早く、読み込みプロセス動画上では観測時点と解消シミュレーション後で大きな差は見られませんでした。

サードパーティータグの影響

本研究ではまず、サードパーティータグを段階的に除去することで、タグ全体が表示速度に与えている影響を観測しました。あわせて、タグ由来のノイズを取り除くことで、サイト自体のボトルネックを観察しやすくする狙いもあります。タグを完全に除去することは現実的ではありませんが、最適化によってどこまでの改善ポテンシャルがあるかを把握する材料としてご覧ください。

本セクションは「サードパーティータグがページスピードに影響を与えている」という現実を数値で示すとともに、それらを最適化することでどれだけのスピード改善ポテンシャルがあるかを示唆するものです。

リソース数の内訳(サイト固有 vs サードパーティタグ)

オリジナルページの全365リソースのうち、サイト固有のリソースは142件(約4割)、サードパーティタグ由来のリソースは223件(約6割)を占めていました。ページスピードのボトルネックを正確に把握するには、まずこの6割のタグを取り除いてサイト固有のパフォーマンスを分離する必要があります。

bunshun.jp のオリジナルデータを分析した結果、74種類、70以上のドメインにまたがるサードパーティータグが検出されました。総リソース数365のうち、サードパーティータグ関連のリソースは223個(全体の61%)を占めていました。

HTMLから直接読み込まれているタグ

タグ名種別
Google Publisher Tag (GPT)広告配信基盤
AnyMind360 / Prebidヘッダービディング
Taboola Push SDKネイティブ広告
ISM Analyticsトラッキング
TagsmithA/Bテスト
はてなブックマークボタンSNSウィジェット
PocketボタンSNSウィジェット
ISM lsync計測

Google Tag Manager経由で読み込まれているタグ

タグ名種別
Google Analytics (UA + GA4)アクセス解析
Google Ads コンバージョン計測広告計測
Facebook Pixel広告計測
Twitter/X Pixel広告計測
Yahoo タグ広告計測
Scorecard Research (comScore)視聴率計測
OpeCloud / OCMデータ管理
Google Funding Choices同意管理

上記のほか、ヘッダービディング関連で29種類、データ管理・ID同期で20種類など、合計74種類のタグが確認されました。

段階的除去シミュレーション結果

段階除去内容総合スコアLCPFCPSI
観測時点-804.6秒0.6秒5.0秒
第1段階広告配信基盤・ヘッダービディング(173リソース除去)991.9秒0.3秒2.9秒
第2段階SNSウィジェット・ISM lsync991.9秒0.3秒3.0秒
第3段階GTM/Analytics(46リソース除去)1000.7秒0.2秒1.4秒

サードパーティータグを全て除去した状態では、総合スコア は80から100へ変化し、LCP は4.6秒から0.7秒、SI(Speed Index)は5.0秒から1.4秒まで変化する結果が得られました。特に広告配信基盤とヘッダービディングの影響が大きく、第1段階の除去だけで LCP が4.6秒から1.9秒へと半分以下に短縮されています。サードパーティータグの最適化には無視できない改善ポテンシャルがあることが読み取れます。

サイト固有のボトルネック

サードパーティータグを全て除去した状態でも、サイト自体の構成に起因するボトルネックが存在するかどうかを検証しました。全7件のボトルネック仮説を検証し、その中から特に影響の大きかった2件を紹介します。

なお、サードパーティータグ除去後の時点で 総合スコア はすでに100に到達しており、サイト自体の構成は基本的に高速であることが確認されています。以下のボトルネックは、スコアには直接影響しないものの、LCPFCP の実測値をさらに短縮する結果が得られたものです。

ボトルネック: CSSファイルの分散(12ファイル)

観察された状況

HTMLの <head> 内に12個の <link rel="stylesheet"> 要素が存在し、すべてが bunshun.ismcdn.jp(HTMLとは異なるドメイン)から配信されていました。12個のCSSファイルが全て揃うまでレンダリングを開始できないため、リクエストのオーバーヘッドが積み重なり、FCPLCP に影響を与えていました。

CSSファイル12個の読み込みがレンダリングを待たせる構造
CSSファイル12個の読み込みがレンダリングを待たせる構造

解消シミュレーションの方法

12個のCSSファイルの内容を1つのファイルに結合し、HTTPリクエスト数を1回に削減しました。

シミュレーション結果

指標解消前解消後変化量
LCP0.7秒0.2秒-0.5秒
FCP0.2秒0.1秒-0.1秒
SI1.4秒1.3秒-0.1秒
解消前解消後
解消前解消後

LCP が0.7秒から0.2秒へと約70%短縮されるという顕著な結果が得られました。CSSファイルが複数に分散していたことが、レンダリング開始を遅延させる大きな要因であったことがこのシミュレーション結果から読み取れます。

なお、CSSの統合・1ファイル化は、現在では HTTP/2 の普及などにより必ずしも有効なプラクティスとは限りません。今回のシミュレーションのように良好な結果が観測されることもありますが、参考程度にとどめてください。

ボトルネック: 画像のJPEG/PNG形式での配信

観察された状況

LCP画像を含む79枚の画像がJPEG/PNG形式で配信されていました。WebPなどの次世代フォーマットに変換することで、画像転送サイズの削減が見込まれる状態でした。

解消シミュレーションの方法

79枚のJPEG/PNG画像をWebP形式に変換しました。JPEG画像はロッシー変換、PNG画像はロスレス変換を適用しています。

シミュレーション結果

指標解消前解消後変化量
画像転送サイズ1.53MB1.03MB-515KB(32.8%削減)
LCP0.2秒0.3秒計測揺らぎの範囲
FCP0.1秒0.1秒変化なし

Lighthouse スコアの各指標には目立った数値変化は現れませんでしたが、画像転送サイズが32.8%削減されました。この結果は、ネットワーク帯域が限られるモバイル環境では表示の安定性に寄与する可能性があります。スコア上は計測揺らぎの範囲内に収まったため、画像フォーマットのボトルネックとしての影響は、CSSファイル分散と比べると限定的であったと読み取れます。

まとめ

文春オンラインのトップページでは、74種類のサードパーティータグがページスピードに対して最も大きな影響を与えていました。サードパーティータグを全て除去するシミュレーションでは、総合スコア が80から100へ、LCP が4.6秒から0.7秒へ変化する結果が得られています。

サイト自体の構成に目を向けると、サードパーティータグ除去後の時点で 総合スコア 100に到達しており、基本的に高速なサイトであることが確認されました。その中でもCSSファイルが12個に分散していた点が最大のサイト固有ボトルネックであり、1ファイルへの結合シミュレーションで LCP が0.7秒から0.2秒へと約70%短縮される結果が得られました。

今回の研究結果から、文春オンラインにおける表示速度の主要なボトルネックはサードパーティータグの量と多様さにあり、サイト自体の構成は十分に最適化されていることが読み取れます。

文春オンライン

https://bunshun.jp/|調査日: 2026-03-19

より詳しいレポートについてはこちらを参照ください。

この研究は自主的に実施したものであり、サイト関係者からの依頼によるものではありません。掲載の取り下げを希望される場合はお問い合わせください。

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