「読売新聞オンライン」トップページの表示速度ボトルネック研究
headスクリプトによるレンダリングブロック、JPEG画像の未最適化などのボトルネックが観測され、これらを解消するシミュレーションではLighthouseスコアが75から最大100まで変化する結果が得られました。Core Web Vitalsの大きな改善が期待できます。
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Core Web Vitalsにつながる指標の改善ポテンシャル
| 観測時点 | 全ボトルネック解消シミュレーション後 |
|---|---|
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| 指標 | 観測時点 | 解消シミュレーション後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
総合スコア | 75 | 100 | +25 |
LCP | 7.8秒 | 0.1秒 | -7.7秒 |
FCP | 1.4秒 | 0.1秒 | -1.3秒 |
SI | 2.9秒 | 1.2秒 | -1.7秒 |
TBT | 0ms | 0ms | 変化なし |
CLS | 0.000 | 0.000 | 変化なし |
総合スコア が75から100へと25ポイント変化するシミュレーション結果が得られました。特に LCP(Largest Contentful Paint = ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間)が7.8秒から0.1秒へと大きな変化を示しており、LCP に強く影響するボトルネックが存在していたことが読み取れます。一方で TBT(Total Blocking Time)と CLS(Cumulative Layout Shift)は観測時点から良好な値であり、JavaScriptの実行ブロックやレイアウトシフトの問題は見られませんでした。
読み込みプロセスの変化を動画で体験
本サイトは観測時点でも表示速度が速いページですが、解消シミュレーション後はそれよりさらにワンテンポ早く表示される様子が見て取れます。
サードパーティータグの影響
本研究ではまず、サードパーティータグを段階的に除去することで、タグ全体が表示速度に与えている影響を観測しました。あわせて、タグ由来のノイズを取り除くことで、サイト自体のボトルネックを観察しやすくする狙いもあります。タグを完全に除去することは現実的ではありませんが、最適化によってどこまでの改善ポテンシャルがあるかを把握する材料としてご覧ください。
本セクションは「サードパーティータグがページスピードに影響を与えている」という現実を数値で示すとともに、それらを最適化することでどれだけのスピード改善ポテンシャルがあるかを示唆するものです。
| リソース数の内訳 | 転送サイズの内訳 |
|---|---|
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オリジナルデータでは全285リソース中、117リソース(41%)がサードパーティタグでした。 リソース数では41%を占めるサードパーティタグですが、転送サイズでは全6,255KB中738KB(12%)にとどまっています。サードパーティタグの多くはトラッキングピクセル(1x1画像)やID同期用のAPIリクエストなど、データ量は小さいものの数が多いことが特徴です。リソース数の多さがブラウザのネットワーク接続数を圧迫し、ファーストパーティリソースの読み込みを遅延させることで、LCPが7,834msまで悪化していました。
読売新聞オンラインのトップページでは、全285リソース中117リソース(41%)がサードパーティータグによるものでした。確認されたサードパーティータグは以下のとおりです。
HTMLから直接読み込まれているタグ
| タグ名 | 種別 |
|---|---|
Google Publisher Tag (GPT) | 広告配信 |
fluct / Adingo Header Bidding | 広告配信(ヘッダービディング) |
AD3広告設定 | 広告設定 |
GTM経由で読み込まれるタグ
| タグ名 | 種別 |
|---|---|
Google Tag Manager | タグ管理 |
Funding Choices | 同意管理 |
Datadog Browser SDK | モニタリング・ログ収集 |
Criteo | 広告(リターゲティング) |
Amazon APS | 広告(ヘッダービディング) |
Index Exchange | 広告(SSP) |
OpenX | 広告(SSP) |
PubMatic | 広告(SSP) |
AppNexus | 広告(SSP/DSP) |
BidSwitch | 広告(SSP) |
Lotame | DMP |
Quantserve | DMP |
D2C / Nidan | トラッキング |
LinkedIn Pixel | 広告計測 |
ContentsFeed | コンテンツレコメンド |
WebPush.jp | プッシュ通知 |
CreativeCDN | 広告クリエイティブ |
Google Syndication | 広告配信 |
Google DoubleClick | 広告配信 |
段階的除去シミュレーションの結果
| 段階 | 除去対象 | 除去リソース数 | 総合スコア | LCP | FCP |
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | (観測時点) | - | 75 | 7.8秒 | 1.4秒 |
| 1 | 広告系タグ一括 | 100 | 100 | 0.2秒 | 0.1秒 |
| 2 | Datadog | 7 | 100 | 0.2秒 | 0.1秒 |
| 3 | Google Tag Manager | 10 | 100 | 0.2秒 | 0.1秒 |
サードパーティータグを全て除去した状態では、総合スコア は75から100へ、LCP は7.8秒から0.2秒へ、FCP は1.4秒から0.1秒へ変化する結果が得られました。特に広告系タグの除去だけで LCP が7.8秒から0.2秒へと劇的に変化しており、パフォーマンス低下の主因が広告系のサードパーティータグにあったことが読み取れます。これはあくまで上限値であり、実際にはこの一部しか実現できないとしても、サードパーティータグの最適化には無視できない改善ポテンシャルがあることが分かります。
サイト固有のボトルネック
サードパーティータグを除去した後の状態で、サイト自体の構成に起因するボトルネックを観察しました。全9件のボトルネック仮説を検証し、その中から特に注目すべき2件を紹介します。
なお、サードパーティータグ除去後の時点で 総合スコア は既に100、TBT は0ms、CLS は0.000であり、サイト自体の構成は非常に高速な水準にありました。以下のボトルネックは、この高速な状態からさらに微細な差を観測したものです。
ボトルネック: headスクリプトによるレンダリングブロック
観察された状況
<head> 内に10個の同期スクリプト(async / defer 属性なし)が配置されていました。これらの中には manifest.js(gzip圧縮後589KB)という大型バンドルが含まれており、ブラウザがHTML解析を一時停止してスクリプトのダウンロードと実行を待つ「レンダリングブロック」の状態が発生していました。
解消シミュレーションの方法
10個の同期スクリプトを <head> 内から </body> 直前に移動し、HTML解析とCSS解析が先に完了してからスクリプトが実行されるようにしました。
シミュレーション結果
| 指標 | 解消前 | 解消後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
FCP | 0.1秒 | 0.1秒 | -0.03秒 |
LCP | 0.2秒 | 0.1秒 | -0.02秒 |
SI | 1.2秒 | 1.2秒 | -0.01秒 |
FCP が125msから96msへ29ms短縮(23%)するシミュレーション結果が得られました。秒単位では微小な差に見えますが、レンダリングブロックの解消によって最初のコンテンツ表示が速まる効果が観測されており、特に589KBの大型バンドルが <head> 内に配置されていたことが FCP に影響していたことが読み取れます。
ボトルネック: JPEG画像の未最適化
観察された状況
サイトではFastly Image Optimizerにより大部分の画像が既にWebPフォーマットで配信されていましたが、4件のJPEG画像がWebP変換されずに残存していました。合計254.8KBのJPEGデータが、より効率的なフォーマットで配信可能な状態にありました。
解消シミュレーションの方法
残存する4件のJPEG画像をWebPフォーマットに変換しました。合計サイズは254.8KBから214.0KBへと16%削減されました。
シミュレーション結果
| 指標 | 解消前 | 解消後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
LCP | 0.2秒 | 0.1秒 | -0.02秒 |
FCP | 0.1秒 | 0.1秒 | -0.02秒 |
SI | 1.2秒 | 1.2秒 | -0.01秒 |
LCP画像自体は既にWebPで配信されていたため LCP への直接的な影響は限定的でしたが、ページ全体のリソース効率が向上し、わずかながら各指標に変化が見られました。大部分の画像が既に最適化されている中で、一部の画像だけが旧フォーマットのまま残っていたという状況が観察されました。
まとめ
読売新聞オンラインのトップページでは、表示速度のボトルネックがほぼ全面的にサードパーティータグ(特に広告系タグ)に集中していました。広告系タグ100リソースの除去だけで LCP が7.8秒から0.2秒へと98%変化するシミュレーション結果が得られており、サードパーティータグの影響の大きさが際立っています。
一方、サイト自体の構成は非常に高速で、サードパーティータグ除去後の 総合スコア は100、TBT は0ms、CLS は0.000という水準にありました。<head> 内の同期スクリプトによるレンダリングブロックやJPEG画像の未最適化といったボトルネックも観測されましたが、その影響は数十ミリ秒の範囲にとどまっており、サイト自体のフロントエンド構成が高い水準で最適化されていることが読み取れます。
この研究結果から、読売新聞オンラインにおける表示速度の課題は「サイトの構成」ではなく「サードパーティータグの負荷」にあり、タグの最適化が最大の改善ポテンシャルを持つ領域であることが分かります。



