このブログと検証方法について
「表示速度ボトルネックの実例研究」の趣旨と、計測・提案の手法について紹介します。
ページスピード改善の現状と課題
PageSpeed Insightsの普及やCore Web VitalsのSEO評価への組み込みにより、サイトスピードに対する関心はかつてないほど高まっています。
しかし、実際にページスピードをしっかり改善できたというケースは、まだまだ少ないのが実情ではないでしょうか。
その原因のひとつは、多くのサイトが頼っているPageSpeed Insightsのアドバイスの多くが、効果の小さな一般論に過ぎないことです。指摘に従って対応してみたものの、スコアも変わらず、体感速度も変わらなかったという経験をお持ちの方も多いはずです。小さな改善では成果が見えにくく、どこに本当のボトルネックがあるのか分からないまま、改善プロジェクトが頓挫してしまうケースが少なくありません。
アイデアマンズ株式会社では、これまで数多くの企業のフロントエンドにおけるページスピード改善を支援してきました。その経験から言えることはふたつあります。ひとつは、サイトのスピードを低下させている最大の原因はサードパーティータグの大量使用であるということ。そしてもうひとつは、一般論が通用するケースはほとんどなく、サイト固有の「本当のボトルネック」を特定することこそが何より重要だということです。
実践的なテクニックや事例、技術を広く共有したい
サイトスピード改善は、企業の事業成果だけでなく、インターネットユーザー全体の体験を少しでも良くするという社会的な意義も持つ取り組みだと、私たちは強く感じています。これまでにも、研究成果の公開やフロントエンドのパフォーマンス改善に関する情報発信を続けてきました。
「表示速度ボトルネックの実例研究」は、PageSpeed Insightsのアドバイスに基づく表面的かつ成果の少ないスピード改善プロジェクトの状況を変えたいという思いから立ち上げたブログです。
実在するWebサイトを題材に、フロントエンドの表示速度における本当のボトルネックを観察・特定し、それを解消したときにどれほどのスピード改善のポテンシャルがあるかをシミュレーションによって検証し、その結果を共有していきます。
当ブログで掲載している事例は、すべて自主的に研究目的で調査・検証を行い、その結果を公表しているものです。対象サイトの運営企業からの依頼に基づくものではありません。掲載を取り下げてほしい場合、異議を申し立てる所存はございませんので、お問い合わせフォームから取り下げのリクエストをお寄せください。
検証方法 ― ボトルネックの観察だけでなく、解消時の影響まで立証する
このブログの大きな特徴は、単にボトルネックを指摘するだけではなく、そのボトルネックを解消したときにLighthouseにおける指標がどのように変化するかをシミュレーションによって検証し、それを研究成果としてお伝えしている点にあります。
では、ボトルネックの影響の大きさをどのように検証しているのか。次の3つのステップで構成される独自のシミュレーション手法を用いています。
Webページの表示プロセスを丸ごとレコーディング
まず、特殊なHTTPプロキシを「録画モード」で起動し、Webブラウザで対象ページを表示します。すべてのHTTP通信がこのプロキシを経由するため、どのようなリソースが、どのようなタイミング・通信速度でブラウザに送られたかをすべて記録できます。
記録されたデータは、Webページを構成する静的なコンテンツ(HTML、CSS、JavaScript、画像など)と、リクエストごとのタイミング・転送速度に関する情報としてファイルに保存されます。
Webページの表示プロセスをほぼ忠実にプレイバック
次に、HTTPプロキシを「再生モード」に切り替えます。この状態でブラウザが再びページにリクエストを送信すると、プロキシは実際のサーバーにはアクセスせず、レコーディング時に記録したコンテンツとタイミング情報をもとに、あたかもサーバーからデータを受信したかのようにレスポンスを返します。
これにより、録画したWebページの表示プロセスを、何度でもほぼ忠実に再現できるようになります。
スピード改善の仮説をシミュレーションで検証
最後に、さまざまなボトルネックの仮説を立て、それを解消する変更を記録済みのコンテンツデータやタイミングデータに適用します。変更を反映した状態でブラウザに表示させ、Lighthouseで計測することで、Webページそのものを改修することなく、「仮にこのボトルネックを解消したら、表示速度にどれくらいの変化が生じるか」をシミュレーションできます。
仮説の立て方は主に2つのアプローチに基づいています。
- 経験則に基づくヒューリスティックな仮説 ― これまで多くのサイトで確認された典型的なボトルネックと、それを解消するパターンを適用する方法
- フィールドワークに基づく仮説 ― Chromeブラウザのパフォーマンスタイムラインを分析してボトルネックを探索し、そこから解消仮説を導き出す方法
こうした仮説検証の繰り返しによって、解消したときのインパクトが大きい仮説を「本当のボトルネック」として特定します。
特許技術に基づく検証手法
上記のシミュレーション手法は、以下の特許技術に基づいています。
日本国特許
- 登録日: 2022年8月8日
- 発明の名称: ページ表示速度改善処理システム
- 特許番号: 特許第7120694号(P7120694)
米国特許
- 登録日: 2025年7月1日
- 発明の名称: Page Display Speed Improvement Processing System
- 特許番号: US Patent 12,346,648 B2
オープンソースソフトウェア「PageSpeed Quest」
この特許技術に基づくシミュレーションフレームワークは、PageSpeed Questというオープンソースプロジェクトとして公開しており、誰でも利用できる状態となっています。
https://github.com/ideamans/pagespeed-quest
当ブログもPageSpeed Questを使って、実在する通販サイトやメディアサイトなどを題材に、それぞれのページの具体的なボトルネックを観察し、解消シミュレーションによる影響の大きさを検証しています。
免責事項
本ブログの提案はすべて外部から観測可能な情報に基づくものであり、各サイトの内部事情や技術的制約を考慮したものではありません。掲載している事例は自主的な研究目的で調査・検証を行ったものであり、対象サイトの運営企業からの依頼に基づくものではありません。実際の改善にあたっては、各サイトの開発チームによる精査が必要です。
お問い合わせ
本ブログの内容に関するご質問や、サイトパフォーマンス改善のご相談は、アイデアマンズ株式会社までお気軽にお問い合わせください。