「時事ドットコム」トップページの表示速度ボトルネック研究
JPEG画像の未WebP化、未使用CSSの残存などのボトルネックが観測され、これらを解消するシミュレーションではLighthouseスコアが73から最大100まで変化する結果が得られました。Core Web Vitalsの大きな改善が期待できます。
時事ドットコムは、時事通信社が運営する総合ニュースサイトです。政治・経済・国際・社会・スポーツなど幅広いジャンルのニュースを配信しており、速報性の高い報道が特徴です。モバイル環境でのトップページの表示速度について、どのような要素がボトルネックとなっているのかを研究するため、解消シミュレーションを実施しました。
Core Web Vitalsにつながる指標の改善ポテンシャル
| 観測時点 | 全ボトルネック解消シミュレーション後 |
|---|---|
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| 指標 | 観測時点 | 解消シミュレーション後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
総合スコア | 73 | 100 | +27 |
LCP | 11.3秒 | 0.5秒 | -10.8秒 |
FCP | 0.6秒 | 0.1秒 | -0.5秒 |
SI | 3.8秒 | 1.2秒 | -2.6秒 |
TBT | 0ms | 0ms | 変化なし |
CLS | 0.000 | 0.000 | 変化なし |
総合スコア が73から100へと27ポイント変化するシミュレーション結果が得られました。特に LCP(Largest Contentful Paint = ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間)が11.3秒から0.5秒へと大きな変化を示しています。一方で TBT(Total Blocking Time)と CLS(Cumulative Layout Shift)は観測時点から良好な値であり、JavaScriptの実行ブロックやレイアウトシフトの問題は見られませんでした。
読み込みプロセスの変化を動画で体験
本サイトは観測時点でも非常に表示速度が早く、読み込みプロセス動画上では観測時点と解消シミュレーション後で大きな差は見られませんでした。
サードパーティータグの影響
本研究ではまず、サードパーティータグを段階的に除去することで、タグ全体が表示速度に与えている影響を観測しました。あわせて、タグ由来のノイズを取り除くことで、サイト自体のボトルネックを観察しやすくする狙いもあります。タグを完全に除去することは現実的ではありませんが、最適化によってどこまでの改善ポテンシャルがあるかを把握する材料としてご覧ください。
本セクションは「サードパーティータグがページスピードに影響を与えている」という現実を数値で示すとともに、それらを最適化することでどれだけのスピード改善ポテンシャルがあるかを示唆するものです。

オリジナルページの全389リソースのうち、サイト固有のリソースは107件(約3割)、サードパーティタグ由来のリソースは282件(約7割)を占めていました。ページスピードのボトルネックを正確に把握するには、まずこの7割のタグを取り除いてサイト固有のパフォーマンスを分離する必要があります。
時事ドットコムのトップページでは、全389リソース中278リソース(71%)がサードパーティータグによるものでした。75の外部ドメインへのリクエストが発生しており、48種類以上のサードパーティータグが確認されました。
HTMLから直接読み込まれているタグ
| タグ名 | 種別 |
|---|---|
Google Tag Manager | タグマネージャー |
Flux Prebid | 広告(ヘッダービディング) |
Google Publisher Tag (GPT) | 広告配信 |
Amazon APS (TAM) | 広告(ヘッダービディング) |
Piano | ペイウォール / 会員管理 |
npttech | 広告ブロック検知 |
cXense / CX Public | DMP |
Rubicon Project | 広告(Cookie同期) |
Outbrain | レコメンドウィジェット |
間接的に読み込まれるタグ(39種類以上)
| カテゴリ | 主なタグ |
|---|---|
| 広告 SSP / DSP | Criteo, PubMatic, Index Exchange, Rich Audience, GumGum, Relaido, Socdm (fluct), Media.net, RTB House, Ogury 等 |
| Cookie同期 | DoubleClick(27リクエスト), The Trade Desk, StackAdapt, Zemanta, SiteScout, Adform 等 |
| 計測・データ | Google Analytics, Google Ad Traffic Quality (SODAR), Intimate Merger, QuantServe 等 |
段階的除去シミュレーションの結果
| 段階 | 除去対象 | 除去リソース数 | 総合スコア | LCP | FCP |
|---|---|---|---|---|---|
| 0 | (観測時点) | - | 73 | 11.3秒 | 0.6秒 |
| 1 | 広告関連タグ一式 | 278 | 100 | 0.5秒 | 0.1秒 |
| 2 | Piano / Chrome内部リクエスト | 追加除去 | 100 | 0.5秒 | 0.1秒 |
サードパーティータグを全て除去した状態では、総合スコア は73から100へ、LCP は11.3秒から0.5秒へ、FCP は0.6秒から0.1秒へ変化する結果が得られました。特筆すべきは、広告関連タグ一式を除去した段階1の時点で既に 総合スコア が100に達していることです。サイト自体の構成が十分に高速であり、パフォーマンス低下の主因がサードパーティータグにあったことが明確に読み取れます。これはあくまで上限値であり、実際にはこの一部しか実現できないとしても、サードパーティータグの最適化には無視できない改善ポテンシャルがあることが分かります。
サイト固有のボトルネック
サードパーティータグを除去した後の状態で、サイト自体の構成に起因するボトルネックを観察しました。全10件のボトルネック仮説を検証し、その中から特に構造的な影響が観測された2件を紹介します。
なお、サードパーティータグ除去後の時点で 総合スコア は既に100、TBT は0ms、CLS は0.000であり、サイト自体の構成は非常に高速な水準にありました。以下のボトルネックは Lighthouse のスコア上は変化が現れませんでしたが、リソース効率の面で明確な差が観測されたものです。
ボトルネック: JPEG画像の未WebP化
観察された状況
サイトで使用されている87枚のJPEG / PNG画像が、より効率的なWebPフォーマットに変換されずに配信されていました。画像の合計サイズは約1.03MBに達しており、モバイル回線での転送量として無視できない規模です。
解消シミュレーションの方法
87枚の画像をWebPフォーマットに変換しました。
シミュレーション結果
| 指標 | 解消前 | 解消後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
| 画像合計サイズ | 1.03MB | 459.4KB | -599.3KB(56.6%削減) |
LCP | 0.5秒 | 0.5秒 | 変化なし |
FCP | 0.1秒 | 0.1秒 | 変化なし |
総合スコア | 100 | 100 | 変化なし |
Lighthouse のスコア上は変化が見られませんでしたが、画像の総転送量が599.3KB(56.6%)削減されるシミュレーション結果が得られました。サードパーティータグ除去後のサイトが既に非常に高速であったため、シミュレーション環境ではスコアに差が現れていませんが、モバイル回線や低速ネットワーク環境では転送量の削減がページ読み込み速度に寄与する可能性があります。87枚という画像数と56.6%という削減率から、画像フォーマットの最適化がリソース効率に与える影響の大きさが読み取れます。
ボトルネック: 未使用CSSの残存
観察された状況
サイトのCSSファイル(jiji2.css)には、トップページのHTMLで使用されていないCSSルールが多数含まれていました。CSSファイルのサイズは119KB(非圧縮)で、そのうち約22%が未使用ルールでした。
解消シミュレーションの方法
HTMLに存在するクラス名・ID・タグ名とCSSセレクタを照合し、一致しないセレクタのルールを除去しました。
シミュレーション結果
| 指標 | 解消前 | 解消後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
| CSSサイズ(非圧縮) | 119KB | 93KB | -26KB(約22%削減) |
LCP | 0.5秒 | 0.5秒 | 変化なし |
FCP | 0.1秒 | 0.1秒 | 変化なし |
総合スコア | 100 | 100 | 変化なし |
こちらも Lighthouse のスコア上は変化が見られませんでしたが、CSSファイルのサイズが約22%削減されるシミュレーション結果が得られました。CSSはページのレンダリング開始に不可欠なリソースであり、そのサイズが小さいほどブラウザのCSS解析が早く完了します。スコアに差が出なかったのはサイト自体の応答速度が十分に高速であったためですが、未使用CSSが22%残存していたという事実は、CSSの配信効率に改善の余地があったことを示しています。
まとめ
時事ドットコムのトップページでは、表示速度のボトルネックがほぼ全面的にサードパーティータグに集中していました。48種類以上・278リソースに及ぶサードパーティータグの除去だけで LCP が11.3秒から0.5秒へと96%変化し、総合スコア が73から100へ到達するシミュレーション結果が得られており、サードパーティータグの影響の大きさが際立っています。
一方、サイト自体の構成は非常に高速で、サードパーティータグ除去後の 総合スコア は100、TBT は0ms、CLS は0.000という水準にありました。JPEG画像の未WebP化(56.6%の転送量削減余地)や未使用CSSの残存(22%の削減余地)といった構造的なボトルネックも観測されましたが、いずれもスコアへの影響は観測されない水準であり、サイト自体のフロントエンド構成が高い水準で最適化されていることが読み取れます。
この研究結果から、時事ドットコムにおける表示速度の課題は「サイトの構成」ではなく「サードパーティータグの負荷」にあり、タグの最適化が最大の改善ポテンシャルを持つ領域であることが分かります。

