「産経新聞」トップページの表示速度ボトルネック研究
複数CSSの結合、JPEG/PNG画像のWebP未変換、未使用CSSの残存などのボトルネックが観測され、これらを解消するシミュレーションではLighthouseスコアが100から最大100まで変化する結果が得られました。Core Web Vitalsには若干の改善余地が残ります。
産経ニュースは、産経新聞社が運営するニュースサイトです。政治、経済、国際、社会、スポーツ、エンタメ、災害情報など幅広いジャンルの速報記事と解説記事を配信しています。本記事では、モバイル環境におけるトップページの表示速度に関するボトルネック研究の観測結果を記録します。
Core Web Vitalsにつながる指標の改善ポテンシャル
| 観測時点 | 解消シミュレーション後 |
|---|---|
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| 指標 | 観測時点 | 解消シミュレーション後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
総合スコア | 100 | 100 | ±0 |
LCP | 1.2秒 | 0.3秒 | -0.9秒(77%の変化) |
FCP | 0.8秒 | 0.2秒 | -0.6秒(77%の変化) |
SI | 2.6秒 | 0.9秒 | -1.7秒(67%の変化) |
TBT | 1ms | 0ms | -1ms |
CLS | 0.000 | 0.000 | ±0 |
| 転送サイズ | 6.76MB | 1.04MB | -5.72MB(84.6%削減) |
本サイトは観測時点で 総合スコア 100を記録しており、Lighthouse のスコア上は既に満点です。CLS(Cumulative Layout Shift = レイアウトのずれ)は0.000、TBT(Total Blocking Time = メインスレッドのブロック時間)は1msと、レイアウト安定性やメインスレッド負荷にはボトルネックが存在しない状態でした。しかし LCP(Largest Contentful Paint = ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間)は1.2秒、SI(Speed Index = ビューの視覚的な表示進捗の速さ)は2.6秒であり、転送サイズは6.76MBと大きな値が観測されていました。シミュレーションの結果、LCP が0.3秒、転送サイズが1.04MBまで変化する観測が得られました。
読み込みプロセスの変化を動画で体験
本サイトでは、指標や 総合スコア の上では大きな変化はありませんが、解消シミュレーション後のほうがワンテンポ早く表示されるようになった様子が見て取れます。
なお、動画撮影プログラムの不具合により、観測時点側の画像が若干ずれて表示されている箇所があります。ご了承ください。
サードパーティータグの影響
本研究ではまず、サードパーティータグを一括除去することで、タグ全体が表示速度に与えている影響を観測します。あわせて、タグ由来のノイズを取り除くことで、サイト自体のボトルネックを観察しやすくする狙いもあります。タグを完全に除去することは現実的ではありませんが、最適化によってどこまでの改善ポテンシャルがあるかを把握する材料としてご覧ください。
本セクションは「サードパーティータグがページスピードに影響を与えている」という現実を数値で示すとともに、それらを最適化することでどれだけのスピード改善ポテンシャルがあるかを示唆するものです。
| リソース数の内訳 | 転送サイズの内訳 |
|---|---|
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リソース数では全体の75%、転送サイズでは78.3%をサードパーティタグが占めています。サイト固有のリソースはわずか25%(76件・1.47MB)であり、ページの読み込み負荷の大部分はサードパーティタグに起因しています。GTM、広告配信、レコメンドウィジェット、アクセス解析など19カテゴリ+17 SSPパートナーが混在しており、タグの棚卸しによる大幅な改善が見込めます。 以下のリソースはサードパーティタグとして扱わず、後続のフェーズで対処しました。
産経ニュースのトップページでは、304リソース中228リソース(転送量の78.3%)がサードパーティータグによるものでした。以下に確認されたタグの一覧を示します。
広告配信システム
| タグ名 | 種別 |
|---|---|
Google Ad Manager (GPT) | 広告配信 |
Amazon Ads (apstag/TAM) | 広告入札 |
html-load.com | 広告配信プラットフォーム |
Rubicon Project (Prebid) | 広告入札 |
npttech.com | アドブロック検出 |
レコメンド・ウィジェット・分析
| タグ名 | 種別 |
|---|---|
Outbrain | レコメンドウィジェット |
Piano.io | ペイウォール/UX管理 |
Chartbeat | アクセス解析 |
| 共同通信ODF | ニュースウィジェット |
広告補助
| タグ名 | 種別 |
|---|---|
GeoEdge | 広告品質管理 |
binsiad.com | 広告関連 |
Conversant (fastclick) | 広告ID管理 |
GTM / アクセス解析・広告トラッキング
| タグ名 | 種別 |
|---|---|
Google Tag Manager (GTM-NTJ4767) | タグマネージャー |
Google Analytics (GA4) | アクセス解析 |
Google Ads | 広告トラッキング |
Microsoft Clarity | ヒートマップ/分析 |
Crowd Control (Lotame) | DMP/データ管理 |
Yahoo! JAPAN Ads | 広告トラッキング |
Teads | 動画広告 |
Prebid/SSPパートナー(17社)
SmileWanted、Admatic、BetweenDigital、Geniee、Microad、Fluct、OneTag、Media.net、OpenX、Index Exchange、PubMatic、ID5、4dex、im-apps.net、ad-delivery.net、GumGum、Vistar
除去シミュレーションの結果
上記19カテゴリ + 17 SSPパートナー、合計228リソースを一括除去した場合の変化は以下の通りです。
| 指標 | 観測時点 | タグ除去後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
総合スコア | 100 | 100 | ±0 |
LCP | 1.2秒 | 0.3秒 | -0.9秒 |
FCP | 0.8秒 | 0.2秒 | -0.6秒 |
SI | 2.6秒 | 0.8秒 | -1.8秒 |
TBT | 1ms | 0ms | -1ms |
| リソース数 | 304 | 76 | -228(-75%) |
| 転送サイズ | 6.76MB | 1.47MB | -5.29MB(-78.3%) |
サードパーティータグを全て除去した状態では、LCP が1.2秒から0.3秒へ、転送サイズが6.76MBから1.47MBへ変化する結果が得られました。サードパーティータグだけで5.29MB・228リソースを占めており、サイト自体のリソースは1.47MB・76リソースのみでした。この結果から、サードパーティータグの最適化には無視できない改善ポテンシャルがあることが読み取れます。
サイト固有のボトルネック
サードパーティータグを除去した状態から、サイト固有のボトルネック仮説を全4件検証しました。その中から、特に影響の大きかった3件を紹介します。
なお、産経ニュースのフロントエンド実装は非常に優れており、サードパーティータグ除去後の時点で既に 総合スコア 100、TBT 0ms、CLS 0.000という状態でした。Fusion/Reactフレームワークによる効率的な実装、jQueryを使用しないモダンな構成、IntersectionObserverベースの遅延読み込み設計など、サイト自体の構成は高い水準にあります。以下に紹介するボトルネックは、その高水準なベースラインからさらに観測された差分です。
ボトルネック: 複数CSSの結合
観察された状況
CSSファイルが6つに分散しており、それぞれ個別のHTTPリクエストが発生していました。head 内の style.css(31,704 bytes)と default.css(1,870 bytes)がレンダリングブロックCSSとしてFCPのクリティカルパスに含まれ、body 内の4ファイルもレンダリング再計算を発生させていました。
解消シミュレーションの方法
6つのCSSファイルを1つのファイルに統合し、HTML内の個別の <link> 要素を削除しました。
シミュレーション結果
| 指標 | 解消前 | 解消後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
LCP | 0.3秒 | 0.3秒 | ±0 |
SI | 0.8秒 | 0.8秒 | -0.1秒 |
CSSの結合によりHTTPリクエスト数が6から1に削減され、パーサーの中断回数が減少しました。LCP と SI に若干の変化が観測されています。
なお、CSSの統合・1ファイル化は、現在では HTTP/2 の普及などにより必ずしも有効なプラクティスとは限りません。今回のシミュレーションのように良好な結果が観測されることもありますが、参考程度にとどめてください。
ボトルネック: JPEG/PNG画像のWebP未変換
観察された状況
バナー画像4枚(JPEG、合計約500KB)とPNG画像4枚がWebP未対応のまま配信されていました。なお、LCP要素となる画像はAkamai Image Managerにより自動でAVIF配信されており、LCP画像自体の最適化余地はほぼありませんでした。ボトルネックはLCP画像以外のバナー・サムネイル画像にありました。
解消シミュレーションの方法
8枚のJPEG/PNG画像をWebP形式に変換しました。
| ファイル | 変換前 | 変換後 | 削減率 |
|---|---|---|---|
| campaign_shima_banner.jpg | 253.5KB | 34.4KB | 86.4% |
| banner_20260303_iwd_SP.jpg | 156.6KB | 43.6KB | 72.2% |
| banner_20260303_WBC.jpg | 41.3KB | 6.9KB | 83.2% |
| banner_2026milanocortina.jpg | 36.4KB | 11.6KB | 68.2% |
| thumbnail.png | 17.6KB | 6.3KB | 64.0% |
| sankeieventinfo_bnr.png | 9.7KB | 3.1KB | 67.8% |
| tokyo2020supporter.png | 9.9KB | 7.5KB | 24.2% |
| logo_election2026.jpg | 5.8KB | 5.2KB | 10.7% |
シミュレーション結果
| 指標 | 解消前 | 解消後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
| 画像転送量 | 530.8KB | 118.6KB | -412.2KB(77.6%削減) |
画像の転送量が530.8KBから118.6KBへと77.6%削減される結果が得られました。LCP や FCP の数値変化は計測揺らぎの範囲内でしたが、転送帯域の効率化という点でこのボトルネックの影響の大きさが読み取れます。
ボトルネック: 未使用CSSの残存
観察された状況
結合後のCSSファイル(259,979 bytes)のうち、トップページで実際に使用されているセレクタはわずか9%程度であり、91%が未使用のまま転送されていました。ニュースサイトの特性上、セクション固有のスタイルや選挙特設ページ用のCSSなど、トップページでは使用されないスタイルが大量に含まれていました。
解消シミュレーションの方法
PurgeCSSを使用して、トップページのHTMLで実際に使用されているCSSセレクタのみを抽出しました。
シミュレーション結果
| 指標 | 解消前 | 解消後 | 変化量 |
|---|---|---|---|
| CSSファイルサイズ | 259,979 bytes | 61,696 bytes | -198,283 bytes(76.3%削減) |
| gzip転送サイズ | 38.1KB | 9.0KB | -29.1KB(76.4%削減) |
SI | 0.9秒 | 0.9秒 | ±0 |
CSSの転送サイズが76.4%削減される結果が得られました。CSSのダウンロードとパースにかかる時間が短縮されることで、レンダリングパイプライン全体の効率化に寄与していることが読み取れます。
まとめ
産経ニュースのトップページは、サイト自体のフロントエンド実装が非常に優れており、観測時点で既に 総合スコア 100を記録していました。TBT 0ms(サードパーティータグ除去後)、CLS 0.000という数値は、Fusion/Reactによる効率的な実装とモダンな設計思想の結果です。
一方で、304リソース中228リソース(転送量の78.3%)がサードパーティータグによるものであり、これがページ表示速度における最大のボトルネックでした。サードパーティータグの除去シミュレーションでは LCP が1.2秒から0.3秒へ変化し、転送サイズは6.76MBから1.47MBまで減少する結果が得られました。
サイト固有のボトルネックとしては、CSSファイルの分散(6ファイル)、JPEG/PNG画像のWebP未変換(530.8KB → 118.6KB)、未使用CSSの残存(91%が未使用)が観測されました。いずれもサイトの機能や見た目に影響を与えない技術的なボトルネックであり、これらを解消するシミュレーションでは転送サイズが6.76MBから1.04MBへと84.6%削減される結果が得られました。
本研究の結果から、高い 総合スコア を記録しているサイトであっても、転送効率や個別指標の面ではまだ最適化ポテンシャルが残されていることが確認されました。



