メディアサイト|2026.04.27

「朝日新聞デジタル」トップページの表示速度ボトルネック研究

ビューポート外画像の即時読み込み、head内同期スクリプトのレンダリングブロック、CSSの別ドメイン配信などのボトルネックが観測され、これらを解消するシミュレーションではLighthouseスコアが96から最大100まで変化する結果が得られました。Core Web Vitalsの改善余地が確認できます。

朝日新聞デジタル

https://www.asahi.com/|調査日: 2026-03-19

より詳しいレポートについてはこちらを参照ください。

この研究は自主的に実施したものであり、サイト関係者からの依頼によるものではありません。掲載の取り下げを希望される場合はお問い合わせください。

朝日新聞デジタル

朝日新聞デジタルは、朝日新聞社が運営する日本を代表するニュースメディアサイトです。政治・経済・社会・国際・スポーツ・文化など幅広いジャンルのニュースをリアルタイムで配信しており、月間数億PV規模のアクセスを持つ大規模メディアです。本記事では、モバイル環境におけるトップページの表示速度に関するボトルネック研究の観測結果を記録します。

Core Web Vitalsにつながる指標の改善ポテンシャル

観測時点解消シミュレーション後
観測時点のLighthouseスコア解消シミュレーション後のLighthouseスコア
指標観測時点解消シミュレーション後変化量
総合スコア96100+4
LCP0.3秒0.4秒+0.1秒(計測揺らぎ)
FCP0.3秒0.1秒-0.2秒
SI5.2秒1.4秒-3.8秒(73%の変化)
TBT0ms0ms±0
CLS0.0000.000±0

本サイトは観測時点で 総合スコア 96と高水準であり、LCP(Largest Contentful Paint = ページの主要コンテンツが表示されるまでの時間)0.3秒、TBT(Total Blocking Time = メインスレッドのブロック時間)0ms、CLS(Cumulative Layout Shift = レイアウトのずれ)0.000と、基礎的なパフォーマンスは極めて良好な状態でした。一方で SI(Speed Index = ビューの視覚的な表示進捗の速さ)が5.2秒と大きな値を示しており、この SI が主たるボトルネックとして観測されました。シミュレーションでは SI が1.4秒まで変化する結果が得られています。

読み込みプロセスの変化を動画で体験

本サイトは非常に多くのサードパーティータグが配信されているにもかかわらず、観測時点ですでに体感的にはかなり早い表示速度を実現しています。読み込みプロセス動画上では解消シミュレーション後との差は微妙であり、サードパーティータグを抱えながらも高い表示速度を成立させていることが見て取れます。

サードパーティータグの影響

本研究ではまず、サードパーティータグを段階的に除去するシミュレーションを行い、タグ全体が表示速度に与えている影響を観測します。あわせて、タグ由来のノイズを取り除くことで、サイト自体のボトルネックを観察しやすくする狙いもあります。タグを完全に除去することは現実的ではありませんが、最適化によってどこまでの改善ポテンシャルがあるかを把握する材料としてご覧ください。

本セクションは「サードパーティータグがページスピードに影響を与えている」という現実を数値で示すとともに、それらを最適化することでどれだけのスピード改善ポテンシャルがあるかを示唆するものです。

リソース数の内訳(サイト固有 vs サードパーティタグ)

サードパーティタグが全リソースの77%(410件)を占めています。特に広告配信(GPT/Prebid/SSP)が302件と突出しており、単独でリソース全体の57%に相当します。GTM/GA/連鎖タグの94件(18%)を加えると、広告とタグマネージャーだけでリソース全体の75%に達します。

サイト固有のリソースは121件(23%)に過ぎず、ページ本来のコンテンツ表示に必要なリソースに対して、サードパーティタグが圧倒的に多い状態です。

朝日新聞デジタルのトップページでは、Lighthouse が検出したサードパーティーエンティティは56件に上り、ページの総リソース531件のうち約410件(77%)がサードパーティー由来でした。以下に主なタグを種別ごとに示します。

HTMLから直接読み込まれているタグ

#タグ名種別
1Google Publisher Tag (GPT)広告配信
2Prebid.js (Rubicon, Amazon Ads等)広告入札
3GeoEdge広告品質監視
4FundingChoices同意管理
5Outbrainコンテンツレコメンド
6Facebook SDKソーシャル連携

GTM経由で配信されているタグ

Google Tag Manager のコンテナが5つ(GTM-N328R8, GTM-K38TZKV, GTM-K4N7QLF, GTM-PJMVNDRF, GTM-52RGTRCX)読み込まれており、これらを通じて以下のタグが連鎖的に配信されていました。

#タグ名種別
1Google Analytics 4 (2プロパティ)アナリティクス
2Google Ads Conversion広告計測
3TikTok Pixel広告計測
4HubSpotマーケティング
5Bing Ads広告計測
6Twitter/X Pixel広告計測
7Chartbeatアナリティクス
8Adobe Experience Cloudアナリティクス
9LINE Tag広告計測
10Yahoo! JAPAN Ads広告計測
11Macromillリサーチ
12Pianoコンテンツ管理
13WebPushプッシュ通知
14Treasure DataDMP
15ID5ID管理
16CxenseDMP
17SmartNews Ads広告計測
18IBM Acoustic Campaignマーケティング
19各種SSP/DSP (Pubmatic, Microad, Criteo, AppNexus, Taboola等)広告配信
20Cookie同期ピクセル群 (Bidswitch, CasaleMedia, Semasio等)広告同期

これらのサードパーティータグを段階的に除去した場合の変化は以下の通りです。

段階除去内容総合スコアSIリソース数
観測時点-965.2秒531
第1段階Google広告配信スタック(GPT/Prebid/SSP等)993.2秒229
第2段階Outbrain + Facebook SDK983.8秒225
第3段階GTM(5コンテナ) + GA + 連鎖タグ全般1001.8秒131
第4段階残存タグ(ブラウザ内部通信等)1001.5秒121

サードパーティータグを全て除去した状態では、総合スコア は96から100へ、SI は5.2秒から1.5秒へ変化し、リソース数は531件から121件に77%減少する結果が得られました。これはあくまで上限値であり、実際にはこの一部しか実現できないとしても、サードパーティータグの最適化には無視できない改善ポテンシャルがあることが読み取れます。

サイト固有のボトルネック

サードパーティータグの影響を除去した状態を起点として、サイト固有の実装に由来するボトルネックを観察しました。全14件のボトルネック仮説を検証し、その中から特に影響の大きかった3件を紹介します。

ボトルネック: ビューポート外画像の即時読み込み

観察された状況

トップニュースの記事画像7枚がすべて loading 属性なし(デフォルトのeager = 即時読み込み)で配信されていました。モバイルビューポート(412x823px)では、4番目以降の記事画像はスクロールしないと見えない位置にあるにもかかわらず、LCP画像と同時にダウンロードされネットワーク帯域を競合している状態が観測されました。

解消シミュレーションの方法

モバイルビューポートの範囲外にある7つの画像(トップニュース4〜7番目の記事画像、ガソリン価格画像、バナー画像、コメントセクション画像)に loading="lazy" 属性を付与しました。

シミュレーション結果

指標解消前解消後変化量
LCP0.4秒0.3秒-0.1秒
FCP0.2秒0.1秒-0.1秒
SI1.4秒1.4秒±0

ビューポート外の画像がLCP画像とネットワーク帯域を競合しなくなったことで、LCP が0.4秒から0.3秒、FCP が0.2秒から0.1秒まで変化する結果が得られました。元々の値が小さいため絶対値としての変化は限定的ですが、LCPFCP の両方に効果が観測されたことから、帯域競合がボトルネックとなっていたことが読み取れます。

ボトルネック: head内同期スクリプトのレンダリングブロック

観察された状況

HTMLの <head> 内に、async / defer 属性のない同期スクリプトが3件存在していました。具体的には jquery-1.9.0.min.jssp_top.jsad/js/sp/top.js の3ファイルです。CSSのパース完了後にこれらのスクリプトが直列に実行され(合計約23ms)、その間レンダリングがブロックされている状態が Lighthouse のトレースログから観測されました。

解消シミュレーションの方法

<head> 内の同期スクリプト3件を </body> 直前に移動し、CSSパース完了後にレンダリングがすぐに開始できるようにしました。

シミュレーション結果

指標解消前解消後変化量
FCP0.3秒0.2秒-0.1秒
SI1.5秒1.4秒-0.1秒
LCP0.4秒0.4秒±0

FCP(First Contentful Paint = ブラウザがコンテンツを最初に描画するまでの時間)が0.3秒から0.2秒へ変化する結果が得られました。<head> 内の同期スクリプトによるレンダリングブロックが FCP に影響を与えていたことが確認できます。

ボトルネック: CSSの別ドメイン配信

観察された状況

メインのCSS(topSP.min.css)がHTMLのドメイン(www.asahi.com)とは異なる www.asahicom.jp から配信されていました。CSSはレンダリングブロックリソースであるため、CSS取得時に別ドメインへのDNS解決 + TLSハンドシェイクが追加で発生します。実環境ではこの遅延は100〜300ms程度と推定されます。

解消シミュレーションの方法

topSP.min.css の配信ドメインを www.asahicom.jp から www.asahi.com(HTMLと同一ドメイン)に変更しました。CSS内の url() 参照はすべて絶対URLで記述されていたため、配信ドメインの変更による副作用はありません。

シミュレーション結果

指標解消前解消後変化量
FCP0.2秒0.3秒+0.1秒(計測揺らぎ)
SI1.6秒1.5秒-0.1秒
LCP0.4秒0.4秒±0

ローカルシミュレーション環境ではDNS/TLS遅延が発生しないため、計測値に明確な差は表れませんでした。しかし、実環境ではレンダリングブロックリソースであるCSSの取得に別ドメインへの接続コスト(推定100〜300ms)が上乗せされるため、FCP への影響は本シミュレーションの数値以上に大きいと考えられます。

CSSが同一ドメインの場合と別ドメインの場合の接続コストの違い
CSSが同一ドメインの場合と別ドメインの場合の接続コストの違い

レンダリングブロックリソースであるCSSが別ドメインから配信されている場合、DNS解決とTLSハンドシェイクが追加で発生し、レンダリング開始が遅延する構造が読み取れます。

まとめ

朝日新聞デジタルのトップページは、観測時点で 総合スコア 96、LCP 0.3秒、TBT 0ms、CLS 0.000と、基礎的なパフォーマンスが非常に高い水準にありました。フロントエンドの実装品質が高く、ロングタスクやレイアウトシフトが発生しない構成が実現されています。

一方で、SI が5.2秒と大きな値を示しており、その主因はサードパーティータグにありました。56エンティティ・GTMコンテナ5つという規模のタグが、リソース数の77%を占め、SI を約3.8秒押し上げていたことがシミュレーションから読み取れます。

サイト固有のボトルネックとしては、ビューポート外画像の即時読み込み、<head> 内の同期スクリプトによるレンダリングブロック、CSSの別ドメイン配信が観測されました。いずれもサイトの機能やデザインに影響を与えない技術的な要因であり、シミュレーション結果からそれぞれが表示速度に与えていた影響を確認できました。

朝日新聞デジタル

https://www.asahi.com/|調査日: 2026-03-19

より詳しいレポートについてはこちらを参照ください。

この研究は自主的に実施したものであり、サイト関係者からの依頼によるものではありません。掲載の取り下げを希望される場合はお問い合わせください。

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